ファッションの大衆化
1960年代に入ると、ファッションの多様化が進みます。
それまでのファッションである意味で画一的だったのは、「女性はこういう格好をするものである」
というものが明確で、そこに年齢層による差異が少なかったことです。
しかし、世代によって違ったファッションの楽しみ方があるということが認識され、ティーンエイジャーが
独自のファッション文化を生み出すようになります。
また若い人たちは米英の文化の影響を受けやすく、保守的なフレンチスタイルから離れたスタイルを
形成するようになります。
ファッションが上流階級の文化であり、上流階級のみに属していたのは過去の出来事となりました。
しかし同時に、オートクチュールを培った文化を守るため、若者ファッションとは明確に線引きしています。
ファッションはあくまでハイカルチャー(上流階級文化)であるという認識が、どのフランス人の
根底にもあると思われます。
そして、もう一つの大きな動きは、ハイファッションから生まれる流行とは別に、映画女優や歌手が
ファッションスタイルのお手本となり始めたことです。
映画の中でブリジット・バルドーがビキニ姿を披露すると、すぐにビキニを買いあさる人が増え、
またジェーン・バーキンのラフなデニムスタイルは、フランス文化にデニムを浸透させるある種の
力になったのです。
こうして、ファッションが上流階級の流行とは別の流れも生み出していきます。