プレタポルテの台頭
戦後のファッションは、上流階級だけでなく、中流階級の若者にまでその文化は広まりました。
それと共に台頭してきたのが、プレタポルテです。
プレタポルテ(高級既製服)という概念は、既に19世紀には存在していました。
しかし、何よりもミシンの進化が、戦後のプレタポルテを一気に後押しすることになりました。
それまでのミシンは、主に軍服用に、軍隊に納めるためにありましたが、既製服を作るのに
十分なだけの縫い方のヴァリエーションができ、全体的に大幅な進化を遂げたことで、
大量の既製服を一気に仕上げることが可能になったのです。
オートクチュールの人々も、もはやプレタポルテの勢いを無視できなくなりました。
そこで、多くのオートクチュールデザイナーが、プレタポルテも手がけるようになり、
イヴ・サンローランは1965年に、プレタポルテのサロンをオープンしました。
これに倣うように、多くのデザイナーがプレタポルテのブティックをオープンするようになり、
それと同時に、世界からも多くのデザイナーが、自分の力量を試すためにプレタポルテデザイナー
としてパリに集まってきました。
日本では、三宅一生氏がこの流れで有名になります。
プレタポルテの開花は、フランスのファッション文化が世界に扉を開いた証でもあるのかもしれません。