ファッションのボーダレス化

フランスのファッションは、元来、高級注文服、及び既製服で成り立ち、その流れを上流階級の
人々が先導してきましたが、次第にその傾向は変わっていきました。

その理由の一つは、海外を往復する人々が増えたことです。

私たちにとって海外旅行は当たり前のレジャーであり、それは先進国全てに共通して言えることです。

ですから、フランスにも英米の流行が簡単に輸入されるばかりでなく、直接アジアやアフリカの
スタイルも輸入される時代になったのです。

その中で、フランスのファッション産業も、もはや「オートクチュール」と「プレタポルテ」に
大別することは不可能になりました。

70年代には、オートクチュールとプレタポルテの両方の要素が入った「デミクチュール」という
言葉が使われるようになり、80年代にはアヴァンギャルトなデザイナーにより、パリコレにも
新旋風が沸き起こりになりました。

ファッションをリードするのは上流階級の貴婦人ではなく、歌手や女優、スーパーモデルたちで、
彼らの着るスタイルを誰もが簡単に真似するようになりました。

フランス国外では、「リアル・クローズ」という新しい流れも現れました。

これは、スウェーデンの「H&M」に代表される、低価格の洋服のことです。

現在では、日本の「ユニクロ」もパリに出店し、フランスのファッションは、価格的もスタイル的にも、
まさにボーダーレスの時代に入ったと言えるでしょう。

フランスの近現代ファッション史

フランスのファッションと文化

LVMHグループ

フランスのメゾンとデザイナーたち

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